恋のパレード

Love Summer! -9-

 先生が苦い顔で説明を始めること数分。
 ずっと知りたかった理由が判明し、スッキリするかと思いきや。
 事情聴取を終えた今、乙女心は大きく揺れ動いていた。

(…………ええと……だから。つまり?)

 混乱しきった頭の中で、思考回路をフル回転させる。

「あの、奈江」
「……はっ、はい?」
「軽蔑されても仕方ないと思っています。……すみませんでした」

 泣きそうな顔で謝られて。
 その表情を見て、煮え立った頭が冷静さを取り戻す。

「い、いえ。軽蔑とか、そういうことはあり得ないので!」
「ですが……」
「だっ、大丈夫です! 寝ているときにちょっかいをかけられたぐらいで、嫌うとかないですから! たとえ、あたしが寝言で先生をすけべ呼ばわりしていたとしても、それはきっと何か深い理由があったんですよ! ええとつまり……その、安心して触ってください!」

 夢中でアピールすると、先生は硬い顔を少し緩めて。

「では、今まで通りに奈江に触れても?」
「もちろんです!」
「このまま押し倒しても?」
「どんとこいです!」
「朝まで寝させたくないと言っても?」
「もちろ…………って朝まで?!」

 つい声を荒げると、楽しそうな笑い声がした。
 先生はあたしの髪の一房を手にとって、口づけを落とす。
 びっくりしていると、艶かしい瞳と目が合った。

「今夜は奈江から情熱的なお誘いを頂いたわけですし、こちらも相応な態度でお相手をしなければ失礼ですよね」

 嬉々として言う顔は、それはそれは太陽に負けないくらいの眩しさで。
 そして、輝いた笑顔には欲望の片鱗が見え隠れしていた。
 本能が逃げろと言っている。
 けれども、先生の吐息が耳に入りこんできて。

「ふっ……?!」

 ゾクリと身震いがして身をよじるが、先生は構わず耳元で囁く。

「今まで我慢していた分、今日ばかりは手加減してあげられません。覚悟してくださいね」
「か……っ、覚悟って……」
「心配いりませんよ。あなたは、俺に全てを委ねればいいんですから」
「……んっ……んん」

 塞がった口から声が洩れる。
 唇を優しく啄ばまれたかと思うと、口内に侵入した温もりに舌が絡め取られた。
 唾液が交わり、舌先から喉元まで移動する熱に、意識が溶かされていく。

「はぁ……ふ、……ぁぁあッ」

 キャミソールの上から胸の膨らみを揉まれるたび、全身が震えた。
 先生に触れられているという実感が高揚感を加速させる。
 彼のチョークを持つ綺麗な指が、自分の肌をつ、と伝い落ちて。
 教師と生徒という背徳感。
 そして恋人同士という秘密の関係。
 それらが合わさって、いつもの愛撫でさえ、より刺激的な興奮に繋がっていく。

「っあ……ん、やっ……」

 いつの間にか、彼の手はキャミソールの中に入りこんでいて。
 下着を押しのけ、硬く主張している頂きを指の間で挟む。
 痛くはないけれど、かといって無視できないほどの強弱の刺激が繰り返されて。
 焦らされているような気分になる。
 その間にも離れてはまた、吸いつくようなキスが襲った。

「ん……んっ」

 次第に足に力が入らなくなり、やがて膝がカクン、と折れた。
 先生の胸に倒れこむと、苦笑いの気配がした。

「おっと……。そんなにキスが良かったんですか?」

 かああっと顔の温度が急上昇する。
 抗議とばかりに上目遣いで先生を睨むと、彼の喉が鳴った。

「すみません。少し意地悪でしたね。焦らしも程々にしときましょうか」
「……え?」
「落ちないように、ちゃんと掴まっててくださいね」
「なん……きゃあっ?!」

 先生はあたしの腰に手を回したかと思うと、そのまま抱き上げた。
 その着地点はあろうことか、温かな彼の太腿の上で。
 横向きで座らされ、足も床につかずにぶらんと宙に浮いている。
 はっきり言って不安定なこと、この上ない。

「せ、せんせ……?!」
「大丈夫ですよ。すぐに慣れます」

 絶対嘘だ。こんなの何回やられても慣れるわけがない。
 しかし、抗議の声はキスに飲みこまれてしまう。
 それだけに留まらず、先生はスムーズな動きであたしの服を脱がしにかかっていた。

「……え、あ、……ちょっ?!」

 時既に遅し。
 寝巻きのショートパンツは足首まで下ろされていて。
 上半身はというと、下着もろとも首元までずり上がってる状態だった。
 パン生地をこねるような手つきで露わになった両胸を揉まれ、中央に寄せられる。
 二つの蕾が擦り合い、新たな刺激に変わる。
 眉を寄せて耐えていると、次の瞬間、先生がパクリと咥えてしまって。

「ひっ……や、ぁんッ」

 ちろちろと舐められ、抑えていた声が洩れていく。
 体の中心が火照り、今すぐにでも彼自身を求めたい欲求に駆られる。
 まだ肝心なところには触れられていないのに、肩が小刻みに震えだして。

「……ぁうっ……はっ、ふぁ……ん、ん」

 熱に浮かされた状態でいると、感心したような声がした。

「今日は一段と凄いですね」
「……え……?」
「ほら、下着もこんなに濡れていますし」

 ショーツ越しに秘部を撫でられる。
 そこは確かに潤いに満たされていて、下着も既に意味を成していなかった。

「……ゃ……あッ、んんっ」

 下着をずらされ、茂みの奥深くに差しこまれる。
 内壁をなぞるように往復するそれは、敏感な場所を擦り上げた。

「やっぱり、いつもと違いますね。指だけなのに、締めつけが尋常じゃない」
「……はぁっ、ふ、あ、……ぁぁぁあッ!」

 先生が掻き回すたび、水音が耳に響いて。
 卑猥な行為をしているという意識が、さらにあたしを追い詰める。
 薄目で先生を見つめると、ふと、先生の動きが止まる。
 指先の感触がなくなったと思ったかと思えば、今度は片足を持ち上げられて。
 咄嗟に先生に抱きつく。

「よいしょ、と」

 腰を引き寄せられ、あたしは自分の体勢がおかしいことに気がついた。
 横向きだったはずの体は、彼と向き合う格好になっていた。
 しかも、さっきより自分の中心が熱い。
 潤んだ場所に宛てがわれている、もうひとつの熱源。
 体が記憶している、確かな感触。
 その正体に記憶をさらっていると、先生が辛そうに息をつく。

「奈江。俺の肩に手を回して」
「……こ、こうですか?」
「ええ。絶対離さないでくださいね」
「は、はい」

 肩にしっかりと掴まると、少しずつ侵入してくる気配。

「ん……ぁ」

 彼の先端は呆気なく飲みこまれていく。
 けれど、先生自身を全部を受け入れるのは体勢的にキツくて。
 中途半端な状態にもどかしく感じていると、不意に。
 先生の両腕によって、腰がわずかに浮いた。
 繋がった部分はそのままで、あたしは落ちないように先生の肩を掴むのに必死で。
 次の衝撃を予知する余裕なんて、これっぽっちもなかった。

「や……っぁ、ん! はぁ、っふ……んあっ……」
「……っく」
「ん、ぁあああッ……ふぁ……んんっ」

 上から押しこむ要領で、先生の昂りが一気にあたしの奥を貫いて。
 揺らされるたび、結合した部分が卑猥な音を立てた。
 そうして下から突き上げられ、活きのいい魚のように体が跳ねる。

「……ぁぅ……やあ……ッ」

 絶頂への階段を駆け上がっていたところ、突然、先生が胸の突起に強く吸いついた。
 かと思えば、優しく舐めたり、甘噛みを繰り返したりして。

「ふぁっ……あ、んぁぁ……」
「気持ちいいですか?」
「ぁん! ひっ、ぁあ……ッ! せ、先生は……?」
「俺ですか? 奈江の熱さに溶かされてしまいそうなほど、気持ちいいですよ」

 言うや否や、激しい貫きがあたしを襲う。

「っ……ぅ、ん……はぁ、んん!」

 彼と深く繋がっているという事実があたしを高みへ誘う。

「んんっ……ふぅ……はっ……ぁ」

 強く抱きしめられ、激情を孕んだ瞳と目が合った。
 今までの触れるだけのキスを生ぬるいと感じるほど、貪るような口づけを交わして。
 甘い痺れに何も考えられなくなる。
 ずっと欲しかった抱擁、乱れた吐息、そして。

「奈江、奈江……」 

 愛しい人の虚ろな呼びかけに、恍惚感が押し寄せていった。
 腰をがっちりと支えられ、上下に揺らされて。
 先生自身がさらに中を圧迫していくにつれ、気持ちが昂ぶる。
 やがて彼の欲望が膜越しに放たれ、あたしも間もなく意識を白く弾けさせた。